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いのちの砦(生活保護)裁判 名古屋地裁不当判決によせて

20年07月13日 yoshioka

少し前のことになりますが、全国各地の地裁で約900人が原告となってたたかわれている「生活保護」の切り下げは違法とする、「いのちり砦裁判」の全国初となる判決が6月25日、名古屋地裁でいいわたされました。角谷昌毅裁判長は、生活保護基準の引き下げは厚生労働大臣の裁量権の範囲内であるとして「棄却」を申し渡しました。

判決は、憲法25条の生存権にてらして、生活保護基準引き下げにかかわる厚生労働大臣の裁量権はその趣旨を逸脱しているか否かを司法が判断するはずだったが、角谷裁判長は憲法判断にはまったく踏み込まず、厚生労働大臣の裁量権の範囲内だとしました。

今回の判決の幾つかある問題点の一つは、厚生労働大臣の裁量権にかかわって、名古屋地裁で政府側の諮問委員会の副委員長は水準引き下げ 等については聞いていないと証言。国側が主張した「諮問委員会の意見を踏まえて厚生労働大臣が基準の引き下げを行った」というのは、そもそも成り立たない証言であったはずです。

もう一つの問題点は、裁判長が判決で政権政党である自民党の部会が生活保護の基準引き下げをいっていたと判決文で明確に示す等、常識では考えられない一政党の考え方を引き合いにした判決文となっていることです。

この間、森友、加計、自衛隊日報、桜を見る会など、様々な場面で省庁の官僚が安倍政権に忖度して、公文書に関わる、ねつ造、隠ぺい、廃棄と何でもありの政治の私物化を行ってきたことが国民の前に明らかになってきています。

この他にも、黒川検察長問題や広島の河合議員夫妻の選挙違反事件やコロナ感染拡大にかかわる様々な疑惑も払拭されないままくすぶり続けています。こうした中での名古屋地裁の判決は、ついに司法までも安倍政権のみならず、今度は自民党にまで「忖度」 したのかと思えるほど異常な判決文となっています。検察の次は司法、これは法治国家としてゆゆしき問題をも孕んでいます。岡山でもたたかわれている「いのちの砦裁判」、ここで司法はいまの政治をどう判断するのか、さらに憲法25条生存権をどう判断するのか、たたかいはこれからです。

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