25年09月16日
yoshioka
先の参議院選挙では、日本で働く「外国人」に対して偏見を煽るような言動が問題となった。日本の介護、農業、建設、製造等、各分野では人手が足りず外国人の労働力無くしては成立しない状況にある。先に挙げた分野のみならず、各地の大学や研究機関でも優秀な外国人研究者の受け入れに奔走している。そんな状況の中で、失政による貧困と格差拡大、疲弊する暮らしに対する「モヤモヤ感や行き場のない不安や不満が、日本で暮らす外国人に問題があるかのような発言を助長した参政党に多くの票が集まったことは将来に暗い影をもたらすこととなった。参政党の神谷代表は、記者から「外国人にどんな優遇措置があるのか」と問われると、「日本では優遇策などありえない」と述べた。「日本人ファースト」という言葉もたんなる選挙のキャッチコピーだといってのけた。この他にも「子どもが産めるか産めないか」で女性を分断する発言にも多くの女性団体から批判が集中した。また、他の政党やマスコミでも年金や医療に関して若者と高齢者の対立を煽るような論調が見られた。若者たちもやがて高齢者となる。子どもを産み育てることができる賃金形態や社会環境が整備もされていない中で、少子化の原因が女性にあるかのような決め付けは、人格や人権を軽視した発言だと言わざるを得ない。あげくの果てに参政党の東京都の候補者から「日本も核武装するのが一番安上がりな防衛政策だ」との発言には多くの人たちが業転し抗議の声をあげた。今回の参議院議員選挙では挙げればきりがないほど、暴言や考え方が演説で飛び交ったが、結果はこうした発言を行った政党が多くの議席を得る結果となった。人は誰でもいずれ高齢者となる。医療費や年金問題はいずれ自分たち自身の身にふりかかってくるのだが、そこは抜け落ちたままになっている。「外国人が優遇されている」という件については、在日米軍とその家族(軍属)へはあてはまるのは事実だが、「外国人問題云々」と言っていた政党は誰もこの問題には言及しなかった。日本の政治や社会構造が危機的状況にある中で、真に誰の人権も尊重される未来をどう創っていくのかがいま私たちに問われている。
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25年08月29日
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教職員組合共同闘争推進連絡会中国ブロック協議会、働くルールを確立し、就職保障と人権を守る岡山連絡会、おかやま教育文化センターの3団体は、8月26日、岡山県庁内で「ゆきとどいた教育と進路保障を求める要請書を県教育員会代表に手渡し、「重点項目」に関する話し合いが行われました。この要請行動には就職連の中島純男共同代表(県人権連議長)と吉岡昇事務局次長(県人権連事務局長)など7人が参加しました。話し合いは村田秀石高教組執行委員長の司会進行で進められ、交渉団を代表して中本雄一教組共闘中国ブロック代表・全教広島書記長が「学校教育をよりよくしていくためにも要請内容を取り入れていただきたい」とあいさつしました。
少人数学級や特別支援教育にかかわる要請に対して県教委側は、「小学校では35人学級の計画的な整備を進めている。中学校についても早期に拡充することを国に要望している」と述べ、特別支援教育の充実のため現状の8人の見直しを要請していると回答。体育館へのエアコン設置に関して、交渉団側から岡山県の設置率は3・2%とあまりに低い。文科省もエアコン補助に関して早めの設置要望を促していることから市町村教育委員会へ再度案内すべきと要請。この他にも県立学校の女子トイレへの生理用品常備問題や子どもの権利条例、県独自の給付制奨学金創設、最賃法による障害者の減額支給問題、県立高校の再編整備、自衛隊の家庭訪問問題等について意見交換が行われました。
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24年12月5日
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今回は9月7日の第5講座と9月21日の最終第6講座の内容を紹介
9月7日の第5講座は、部落問題研究所・総合社会福祉研究所の石倉康次氏による部落問題解決の歩みの地域的偏差と街づくりがテーマ。講師は、なぜ地域差に着目するのか述べた上で、戦後の埼玉県の農村地区の状況や和歌山の農家の耕作面積についても全体に比べ小規模が多く兼業農家が多いことを紹介しました。
また、京都市内の高校進学率の変化等についても紹介し、「同和対策事業」完了後の「通婚」の変化として、1994年の広島や2000年の大阪の統計を示して、最後の「壁」といわれた結婚もほぼ問題がなくなっていることを解説しました。ただし、同和行政の終結と、その後の地域での対応によって、一部運動体による暴力や利権がみられる地域と、市民的融合が進展している地域では大きな差が見られると具体例を示して解説しました。
その上で、「混住率」という概念の問題点や土地への忌避意識等について三重県や福岡市の例をあげて、旧同和地区の公共施設等が地区内外で共同利用されているか、空き地の開発が新たな転入者を生む等、街づくりに結びついているか等が一つの目安になると講演を結びました。
9月21日の第6講座は、龍谷大学教授の丹羽徹氏による包括的差別禁止法をどう考えるがテーマ。講師は、2023年4月14日付け、日弁連の「人種等を理由とする差別的言動を禁止する法律の制定を求める意見書」を取り上げ、国連人種差別撤廃委員会が「部落問題」を「人種等」に含めているからと、日弁連が意見書の中で同じ見方をしている点は間違っていると指摘。性別、人種、民族などカテゴライズされたもののなかに解消すべきでないもの、解消すべきものとがあり、「部落問題」は解消されるべきものだと解説。
9条の会の呼びかけ人であった故・奥平康弘さんは、すべての人の権利が実現できていないで平等のみを主張することは空疎だと話されていたと紹介しました。「差別されない権利」は、重要であり差別した者になんらかの法的制裁は必要。憲法が保障する人権の基本である個人主義は、誰一人として同じ人はいない、違っているがゆえに尊重されなければならないと解説。第3者委員会などを設置するにしても委員が特定の側に偏ったりする危険性もあると講演を結びました。
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24年10月5日
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今回は8月10日の第3講座と8月24日の第4講座の内容を紹介
8月10日の第3講座は、部落問題研究所研究員の梅田修氏による人権教育・啓発と人権意識調査の意味がテーマ。講師は、2016年に公布された「部落差別の解消に関する法律」の第6条に明記された「部落差別の実態に係る調査」について次のように解説しました。「部落差別解消法」に「部落差別」に関する定義がない点や参議院附帯決議に沿って、新たな差が生じることがないように留意した調査は、結果的に「部落差別」の「意識に係る調査」とならざるを得ないと解説。
更に「同和地区」に固執する自治体の具体例として、「人権意識調査」に関して、大阪、滋賀、愛知、群馬、和歌山の「同和地区」に限定した設問・選択枝で「あなたのお子さんの結婚しようとする相手が同和地区の人だとわかった場合、どうしますか」等の問いが繰り返しみられる点に着目。この問いには、必ず「絶対に結婚を認めない」という回答が何%か出てくる。それが部落問題に関する「差別意識」の存在を証明する根拠にされていると指摘しました。
最後に政府関係機関としても、「いかなる調査であっても人や地域を特定することを伴う調査は実施しないこと」と結論づけた点と、「差別意識」の解消に果たす人権教育・啓発の効果は検証できない状況だと結論づけました。
8月24日の第4講座は、全国人権連代表委員の丹波正史氏による地域人権運動20年の歩みとこれからの課題がテーマ。講師は、近年「部落問題」はいまも厳しいとする自治体並びにマスコミ等の論調は現状を無視して国民に誤った認識をもたらす。こうした問題の是正が重要だと指摘しました。20年前の全解連から全国人権連への組織的な改組発展を迎えるにあたって、部落問題解決の総仕上げに関する課題と共通要求に基づく共同の住民運動を前進させることを念頭に運動の転換を果たしてきたと解説。
そうした中で2012年に運動と地域づくりの新たな「羅針盤」としての「地域人権憲章」を内外に示し諸要求の実現を目標に地域人権運動を展開してきたと述べ、資料に基づいて創立大会から第10回大会までの各大会の特徴点を解説。
その上で、愛知の事例を紹介し、地域のニーズ・要求に応える取り組みが運動に求められていると話しを結びました。
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24年09月20日
yoshioka
今回は7月6日の第1講座と7月27日の第2講座の2つを紹介
7月6日の第1講座は、大坂私立大学教授の塚田孝氏による近世身分制研究の成果と「部落史研究」がテーマ。講師は、1975年に専門課程に進む中で、それまで当前とされてきた「部落史」からの脱却と身分と身分社会の研究、部落問題の歴史的研究へと進む中で、最初に「部落史」の何が問題なのかについて解説。
「部落史」は1950年代後半までは、歴史全体から切り離されて研究されてきた中で、古代や近世の身分をはじめ、政治起源説や宗教起源説など、「起源」の追求に重きが置かれ、部落第一主義(部落排外主義)のような運動の理論とセットになるといった問題もあったと解説しました。そうした中で、今日では多くの研究の成果として、中世史や近世史研究、部落問題の歴史的研究が大きく発展してきたと述べました。
部落問題については、日本の近現代史の全体的な展開に位置付けて総合的に考える必要があると説明しました。その上で、近世の身分について、関東と関西では様々な点で違いがあることについて解説図をつかって具体的に紹介しました。
7月27日の第2講座は、部落問題研究所理事の西尾泰広氏で近現代日本の歴史から部落問題をとらえる」がテーマ。講師は、現在、中学校や高等学校向けに創られている教科書で近世の身分と身分社会にかかわる記述の内容を列挙して紹介。その内容は出版社で異なり、身分制度だとするものと身分制度そのものはなかったというものが存在すると説明。更に部落問題研究所に所属する研究者の研究成果として、明治維新後の地域支配構造と「部落」の変容は江戸時代と大差ないと紹介。
全国水平社創立前後の社会のあり方や戦争に向け全国水平社が消滅し、戦後、新しい日本国憲法の下で、運動が復活し、高度経済成長期を迎える中で同和対策事審議会答申とその後の同和対策特別措置法の制定から2001年度末まで続いた特別対策によって「部落」の住環境や教育格差が大きく解消してきた実態を解説しました。全国水平社創立から100年、部落問題研究所としては、部落問題の解決が見通せる時代になったという見解を持っているが、2016年の「部落差別解消法」制定は、自民党が市民と野党の運動にクサビを入れるために「解同」取込みを狙ったものだと指摘しました。
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