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「人権と部落問題」基礎講座その3

24年12月5日 yoshioka

今回は9月7日の第5講座と9月21日の最終第6講座の内容を紹介

9月7日の第5講座は、部落問題研究所・総合社会福祉研究所の石倉康次氏による部落問題解決の歩みの地域的偏差と街づくりがテーマ。講師は、なぜ地域差に着目するのか述べた上で、戦後の埼玉県の農村地区の状況や和歌山の農家の耕作面積についても全体に比べ小規模が多く兼業農家が多いことを紹介しました。

また、京都市内の高校進学率の変化等についても紹介し、「同和対策事業」完了後の「通婚」の変化として、1994年の広島や2000年の大阪の統計を示して、最後の「壁」といわれた結婚もほぼ問題がなくなっていることを解説しました。ただし、同和行政の終結と、その後の地域での対応によって、一部運動体による暴力や利権がみられる地域と、市民的融合が進展している地域では大きな差が見られると具体例を示して解説しました。

その上で、「混住率」という概念の問題点や土地への忌避意識等について三重県や福岡市の例をあげて、旧同和地区の公共施設等が地区内外で共同利用されているか、空き地の開発が新たな転入者を生む等、街づくりに結びついているか等が一つの目安になると講演を結びました。

9月21日の第6講座は、龍谷大学教授の丹羽徹氏による包括的差別禁止法をどう考えるがテーマ。講師は、2023年4月14日付け、日弁連の「人種等を理由とする差別的言動を禁止する法律の制定を求める意見書」を取り上げ、国連人種差別撤廃委員会が「部落問題」を「人種等」に含めているからと、日弁連が意見書の中で同じ見方をしている点は間違っていると指摘。性別、人種、民族などカテゴライズされたもののなかに解消すべきでないもの、解消すべきものとがあり、「部落問題」は解消されるべきものだと解説。

9条の会の呼びかけ人であった故・奥平康弘さんは、すべての人の権利が実現できていないで平等のみを主張することは空疎だと話されていたと紹介しました。「差別されない権利」は、重要であり差別した者になんらかの法的制裁は必要。憲法が保障する人権の基本である個人主義は、誰一人として同じ人はいない、違っているがゆえに尊重されなければならないと解説。第3者委員会などを設置するにしても委員が特定の側に偏ったりする危険性もあると講演を結びました。

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「人権と部落問題」基礎講座その2

24年10月5日 yoshioka

今回は8月10日の第3講座と8月24日の第4講座の内容を紹介

8月10日の第3講座は、部落問題研究所研究員の梅田修氏による人権教育・啓発と人権意識調査の意味がテーマ。講師は、2016年に公布された「部落差別の解消に関する法律」の第6条に明記された「部落差別の実態に係る調査」について次のように解説しました。「部落差別解消法」に「部落差別」に関する定義がない点や参議院附帯決議に沿って、新たな差が生じることがないように留意した調査は、結果的に「部落差別」の「意識に係る調査」とならざるを得ないと解説。

更に「同和地区」に固執する自治体の具体例として、「人権意識調査」に関して、大阪、滋賀、愛知、群馬、和歌山の「同和地区」に限定した設問・選択枝で「あなたのお子さんの結婚しようとする相手が同和地区の人だとわかった場合、どうしますか」等の問いが繰り返しみられる点に着目。この問いには、必ず「絶対に結婚を認めない」という回答が何%か出てくる。それが部落問題に関する「差別意識」の存在を証明する根拠にされていると指摘しました。

最後に政府関係機関としても、「いかなる調査であっても人や地域を特定することを伴う調査は実施しないこと」と結論づけた点と、「差別意識」の解消に果たす人権教育・啓発の効果は検証できない状況だと結論づけました。

8月24日の第4講座は、全国人権連代表委員の丹波正史氏による地域人権運動20年の歩みとこれからの課題がテーマ。講師は、近年「部落問題」はいまも厳しいとする自治体並びにマスコミ等の論調は現状を無視して国民に誤った認識をもたらす。こうした問題の是正が重要だと指摘しました。20年前の全解連から全国人権連への組織的な改組発展を迎えるにあたって、部落問題解決の総仕上げに関する課題と共通要求に基づく共同の住民運動を前進させることを念頭に運動の転換を果たしてきたと解説。

そうした中で2012年に運動と地域づくりの新たな「羅針盤」としての「地域人権憲章」を内外に示し諸要求の実現を目標に地域人権運動を展開してきたと述べ、資料に基づいて創立大会から第10回大会までの各大会の特徴点を解説。

その上で、愛知の事例を紹介し、地域のニーズ・要求に応える取り組みが運動に求められていると話しを結びました。

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「人権と部落問題」基礎講座 第1、第2講座の内容

24年09月20日 yoshioka

今回は76日の第1講座と727日の第2講座の2つを紹介

76日の第1講座は、大坂私立大学教授の塚田孝氏による近世身分制研究の成果と「部落史研究」がテーマ。講師は、1975年に専門課程に進む中で、それまで当前とされてきた「部落史」からの脱却と身分と身分社会の研究、部落問題の歴史的研究へと進む中で、最初に「部落史」の何が問題なのかについて解説。

「部落史」は1950年代後半までは、歴史全体から切り離されて研究されてきた中で、古代や近世の身分をはじめ、政治起源説や宗教起源説など、「起源」の追求に重きが置かれ、部落第一主義(部落排外主義)のような運動の理論とセットになるといった問題もあったと解説しました。そうした中で、今日では多くの研究の成果として、中世史や近世史研究、部落問題の歴史的研究が大きく発展してきたと述べました。

部落問題については、日本の近現代史の全体的な展開に位置付けて総合的に考える必要があると説明しました。その上で、近世の身分について、関東と関西では様々な点で違いがあることについて解説図をつかって具体的に紹介しました。

727日の第2講座は、部落問題研究所理事の西尾泰広氏で近現代日本の歴史から部落問題をとらえる」がテーマ。講師は、現在、中学校や高等学校向けに創られている教科書で近世の身分と身分社会にかかわる記述の内容を列挙して紹介。その内容は出版社で異なり、身分制度だとするものと身分制度そのものはなかったというものが存在すると説明。更に部落問題研究所に所属する研究者の研究成果として、明治維新後の地域支配構造と「部落」の変容は江戸時代と大差ないと紹介。

全国水平社創立前後の社会のあり方や戦争に向け全国水平社が消滅し、戦後、新しい日本国憲法の下で、運動が復活し、高度経済成長期を迎える中で同和対策事審議会答申とその後の同和対策特別措置法の制定から2001年度末まで続いた特別対策によって「部落」の住環境や教育格差が大きく解消してきた実態を解説しました。全国水平社創立から100年、部落問題研究所としては、部落問題の解決が見通せる時代になったという見解を持っているが、2016年の「部落差別解消法」制定は、自民党が市民と野党の運動にクサビを入れるために「解同」取込みを狙ったものだと指摘しました。

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岡山県人権連第21回定期総会

24年04月22日 yoshioka

4月21日、岡山県民主会館で岡山県地域人権ネットワーク結成総会終了後、人権連関係者によって同会場で第21回県連定期総会が開催されました。

中島純男県連議長の主催者挨拶に続き、中島正智事務局次長から県連規約の 一部改正案とその理由が説明され、吉岡昇事務局長から2023年度の総括を含む2024年度一般運動方針案が提案されました。続いて、妹尾善弘事務局次長から決算案と会計監査報告、2024年度予算案の提案と説明が行われました。役員推薦案は文書配布方式で行われました。

総会では、提案された議案は原案通り全会一致で採択されました。

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ブログが閲覧できなくなった方へ追記

24年01月16日 yoshioka

以前お知らせしたものの追記です。

Google Chrome と Microsoft Edge で当ブログをご覧に なっていた方で突然閲覧ができなくなった件で、その後判明したことを追記しておきます。

どちらも http:// が https:// へと自動的に書き換えられていることから発生する問題です。

Google Chrome の場合は、最後の s を削除すれば閲覧は可能となります。

Microsoft Edge の場合は、最後の s を削除してもすぐにもとの https:// となってしまい閲覧はできないようになっています。

この問題は、Microsoft Edge の側に問題があるのでさくらインターネットのサーバー側では解決できないようです。 

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