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菅首相による日本学術会議推薦の6名任命拒否問題への声明

20年11月24日 yoshioka

菅首相による日本学術会議の6名任命拒否問題に関する「声明」

 

 菅首相は日本学術会議から推薦された105名の会員名簿のうち、安保関連法反対などを明らかにしていた6名の任命を拒否した問題をめぐって、当該学術会議はもとより同会議の連携委員や学者研究者等から「学術への政治介入」は許されないと抗議声明が出された。

野党各党も菅首相の学術への政治介入問題に関して、過去の中曽根首相時代の「首相の任命は形式的なもので、学術会議側からの推薦はすべて拒否しない」とする国会での政府答弁との矛盾や、2017年に国会に報告することなく内閣法制局と秘密裏に「首相の任命拒否の可能」とする内部文書を作成していことも含めて、「任命拒否の理由」が国会で取り上げられ追及が行われた。この問題は海外でも大きく取り上げられ、波紋を広げている。

過去の戦争に軍事利用された学術研究を反省し二度と軍事利用に加担しないとする日本学術会議の設立主旨は、海外の学術会議とも共通している。学術研究は現在と将来を生きる者たちすべての財産であり、軍事利用を優先する国や一部の者たちの利益に帰属しないのが本来の姿である。

菅内閣の今回の任命拒否問題の背景には、「詭弁」を弄しながら進めてきた、第1次安倍内閣時代の教育基本法改悪と学習指導要領改悪、第2次安倍内閣時代の特定秘密保護法、自衛隊法改悪と海外で武力行使を可能とする閣議決定、安保法制改悪などに加え、「産官学連携協定」を名目にした大学や研究機関への軍事転用可能な研究費助成を推し進めることによって、事実上、研究機関を再び軍事利用できる道を開いてきたことがある。

義務教育から大学・研究に至る全ての段階で、自公政権が推し進めようとしている国のあり方に疑問を呈し、ときに強く反対を唱えてきた人たちの代表的存在として、今回、菅首相によって任命を拒否された6名の学者研究者がいる。

岡山県人権連は、その前身である全解連岡山県連時代から戦争放棄と平和主義、基本的人権など日本国憲法の基本理念に立脚して運動を展開してきたところである。運動を進める中で国民相互の自由な話し合いを通じて「部落タブー」等も克服するなど、言論・表現の自由を大切にしてきたところである。こうした視点から、この間の安倍・菅内閣による政治腐敗・政治の私物化に反対してきたところであり、今回の菅首相の日本学術会議に対する政治介入は学問の自由を侵すものとして許すことはできない。

菅首相は、日本学術会議の推薦任命拒否問題について、国民の納得できる説明をすべき責任があるにもかかわらず、問題を日本学術会議の運営とあり方にすり替えようと一部国会議員やマスコミを煽って誤った情報をふりまき、国民に誤解を生じさせる露骨な政治介入と卑劣な戦略を推し進めている。

こうした一連の国民を愚弄した菅内閣の政治姿勢は、益々国民の政治不信を深めるものであり、許されるものではない。菅首相は、まずは自らの説明責任をきちんと果たしたうえで、6名の任命拒否をただちに撤回すべきである。

20201121

岡山県地域人権運動連絡協議会常任幹事会

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