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「人権と部落問題」基礎講座 第1、第2講座の内容

24年09月20日 yoshioka

今回は76日の第1講座と727日の第2講座の2つを紹介

76日の第1講座は、大坂私立大学教授の塚田孝氏による近世身分制研究の成果と「部落史研究」がテーマ。講師は、1975年に専門課程に進む中で、それまで当前とされてきた「部落史」からの脱却と身分と身分社会の研究、部落問題の歴史的研究へと進む中で、最初に「部落史」の何が問題なのかについて解説。

「部落史」は1950年代後半までは、歴史全体から切り離されて研究されてきた中で、古代や近世の身分をはじめ、政治起源説や宗教起源説など、「起源」の追求に重きが置かれ、部落第一主義(部落排外主義)のような運動の理論とセットになるといった問題もあったと解説しました。そうした中で、今日では多くの研究の成果として、中世史や近世史研究、部落問題の歴史的研究が大きく発展してきたと述べました。

部落問題については、日本の近現代史の全体的な展開に位置付けて総合的に考える必要があると説明しました。その上で、近世の身分について、関東と関西では様々な点で違いがあることについて解説図をつかって具体的に紹介しました。

727日の第2講座は、部落問題研究所理事の西尾泰広氏で近現代日本の歴史から部落問題をとらえる」がテーマ。講師は、現在、中学校や高等学校向けに創られている教科書で近世の身分と身分社会にかかわる記述の内容を列挙して紹介。その内容は出版社で異なり、身分制度だとするものと身分制度そのものはなかったというものが存在すると説明。更に部落問題研究所に所属する研究者の研究成果として、明治維新後の地域支配構造と「部落」の変容は江戸時代と大差ないと紹介。

全国水平社創立前後の社会のあり方や戦争に向け全国水平社が消滅し、戦後、新しい日本国憲法の下で、運動が復活し、高度経済成長期を迎える中で同和対策事審議会答申とその後の同和対策特別措置法の制定から2001年度末まで続いた特別対策によって「部落」の住環境や教育格差が大きく解消してきた実態を解説しました。全国水平社創立から100年、部落問題研究所としては、部落問題の解決が見通せる時代になったという見解を持っているが、2016年の「部落差別解消法」制定は、自民党が市民と野党の運動にクサビを入れるために「解同」取込みを狙ったものだと指摘しました。

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