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現代に蘇る蟹工船(小林多喜二)

08年02月25日 yoshioka

プロレタリア作家・小林多喜二の代表作である「蟹工船」。
多喜二は、1903(明治36)年10月13日秋田県大館市生まれ。小樽に移住し、小樽高等商業学校卒業後、北海道拓殖銀行に勤務したが解雇され上京し、1931年10月、日本共産党に入党。1933年2月20日、「治安維持法」により特高警察に逮捕され同日築地署内において拷問により虐殺されました。30年に満たない人生でした。
多喜二の代表作でもある「蟹工船」がいまあらためて注目されつつあります。「蟹工船」の大筋は、一儲けをたくらむ資本家が労働者を甘い言葉でだまし、労働者をまるで奴隷のように扱うことから、労働者が団結して闘うことの大切さを日々の生活苦とあわせて描いています。特に、極寒のカムチャッカで嵐の中、危険な船外作業を長時間やらされる労働者。船は不衛生で食事も与えられません。何人かは波にさらわれたり、機材の下敷きになったり、あるいは反抗の見せしめされたりして、命を落とします。
この作品に描かれている内容は、現代の派遣労働者の労働形態そのものであり、ここに描かれている資本家は現代の大手企業です。
産業のグローバル化を声高に叫びながら、新自由主義路線を突っ走る財界とそれを後押しする政府与党のもとで、「仕事はあなたの好きな時間に選ぶことができる」「仕事を選ぶ時代」と偽って、実はもっとも安い賃金で労働者を搾取する「派遣」「偽装請負」が常態化している現代の労働形態がこの作品にダブります。同時に国が医療や福祉、社会保障を切り捨てているところもよく似ています。そこが再度注目されつつあるのではないかと思います。
■同時に多喜二が当時特高警察につかまったのは治安維持法でした。いわゆるレッドパージというものです。そのための犠牲者は数多くいます。現代の治安維持法と呼ばれる「共謀罪」法案。映画「母べい」でも主人公の夫が治安維持法で逮捕されます。この問題とあわせて現在の法律の改悪や軍事費の伸び率をあわせて考えるとなんだかいまがいつの時代なのかと考えさせられてしまいます。

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