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人権問題研究集会(岡山「さん太ホール」11/27)尾木直樹氏講演に200人

08年11月28日 yoshioka

11月27日、岡山市の山陽新聞社「さん太ホール」で、2008年度人権問題研究集会を開催しました。この集会は、毎年県下3会場で同一名称で人権連が開催しているものです。岡山市会場は人権岡山が主催、県連は後援として取り組みました。参加者は全体で200人。参加者の内訳は、行政関係者・教育関係者・各種団体・人権連のほか、開催要綱ビラや新聞記事を見たりして、飛び込みでこられた一般参加の人たちの姿も。

人権岡山・景山一正事務局長開会冒頭、主催者を代表して、人権岡山の景山一正事務局長は、「国民の信を問うことなく3代目の政権となっているが、この間の自民党・公明党連立政権が進めた政治路線が、あらゆる格差を拡大し、自己責任論のもとで、平等権が否定される事態を生み出した」と痛烈に批判し、「官から民へという経済至上主義のもとで、国民は生活することすら困難な状況に陥っている中で、経済格差が教育に差別化を持ち込んでいる。政治家が暴論を繰り返す時代に、私たちは、地域を守り人権を守る団体として、本集会を計画しました。本日は皆さんと一緒に、今日の子どもたちのおかれている現状を打開していく一助となればと思っています」と、集会の意義と情勢を述べあいさつ。

岡山市・古中人権推進室長岡山市の古中人権推進室長は、高谷市長あいさつ代読をした上で、岡山市としても来年1月から政令指定都市となる中、何事も市の裁量で決定できることになり、人権を大切にする都市の構築に向けて頑張りたいとあいさつ。

 ★メインの講演(要旨)

教育評論家・法政大学インテリアデザイン学部教授の尾木直樹氏が、1時間30分、「子どもの危機をどう見るか」と題して、日本とヨーロッパの政治的土台・教育に関する考え方の違いなどを織り交ぜながら舞台狭しと講演。

尾木直樹氏講師は、開口一番、「日本では子どもの人権はいま守られていない」と指摘。続けて「国際的、特にヨーロッパ諸国から見ると、日本は北朝鮮と同じように人権を大切にしない国ととらえられている」と、風土もさることながら政治・教育のあり方がまず悪いと前置きした上で、日本は本来、子育てをきちんとする国だったのにいつからこんな国になったのだろうかと、日本の国自体が危機的状況にあると述べました。

麻生総理に関して、「私たちは漢字の読めない総理をいただいて大変です。40数年教員をやっているが、こんな読み方をした人はいなかった」とバッサリ。この総理をいただく政権だから、「健康の問題でも自己責任を持ち出し、『病気になったのは自分が悪い。そんな人の保険料は国は払わないよ』と、公言してはばからない(11/27、麻生氏はこの発言を陳謝)」のだと指摘。教育に関しても教師がプライドを高めることをサポートする体制を国が作ってこなかったことが、国際的教育力の比較で日本が下位になった原因だと述べました。

会場の風景経済格差と教育格差の関係については、昨年、講師が岡山市の操山中学の生徒との交流があった中で、アンケートに経済格差が教育格差を生んで、それがまた経済格差につながる関係にあるのだから、まずは教育をきちんとすべきだと思うという意見があったことなど、子どもたち自身も今日の経済格差が教育に及ぼしている影響を的確にとらえていることを紹介。この点について講師は、自己の造語と前置きして「社会的虐待」といえる放置・性的虐待などに関する調査が1997年には1101件だったのが、2007年には40681件、約38倍にまで急増しているという結果だが、特にここ2~3年で急増していると指摘。いまは、世代間のギャップが大きく、意識の面でも麻薬などに手を染める大学生や高校生の問題も紹介した上で、大人社会が子どもたちに与える影響の大きさを改めて考える時期にきていると述べました。

また、全国一斉学力テストについて、講師は、実は国語の問題でもAとBの2つの問題があり実際には統一テストでなかったことや以前から指摘されている、教師が子どもたちの成績をあげるために成績の良くない子に学校を休ませたり、答えを暗に教えたり、問題と回答の暗記ばかりに時間をさいてる実態がある日本の今の公教育の在り方は、ヨーロッパ諸国と比べ運動会でいえば3週遅れだと厳しく批判。

国連の調査でも、日本の子どもたちが他国の子どもたちに比べて、不安を感じていたり、目的を持てなかったり、うつ病傾向などの国際比較で、ずばぬけて問題が多いことも紹介し、本当の意味で「学ぶ力」を身につけさせるためには、いまの日本の教育の在り方を根底から見直した上で、子どもたち自身に何のために教育が必要なのかを考えさせることが重要で、教育にかける予算の使い方などを含めて、これからの日本の教育全体のあり方を見直す時期にきていると指摘し、これからの日本の子どもたちは、互いに励ましあい、助け合う中で、「自己決定できる子」「自己肯定できる子」を育てなくてはいけない。そのためにも子どもたちが自分のことをわかってくれていると思える教師や親など社会的営みが大切ではないかと講演を結びました。

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